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第18回福祉教育研究フォーラムを開催しました

レポート
2025年03月18日

2025年2月1日(土)に本学東海キャンパスを拠点とし、一部のプログラムをオンライン中継する形で、「地域と福祉を学ぶ高校との協働」をテーマに、第18回福祉教育研究フォーラムを開催しました。当日は、福祉系高校教員や学生などを中心に89名にご参加いただきました。

開会

原田 正樹 学長
 主催者を代表し、原田正樹学長が「本フォーラムは、高校と大学の7年間で福祉を学ぶ生徒や学生を主な対象に、より良い福祉教育をどう作り上げるかをテーマに、高校の先生方と大学の教員で実行委員会を作り、毎年工夫しながら開催してきた。私たち教員が、福祉を教える際に何を伝えるべきか、価値観や福祉観を再確認し、生徒たちにどう伝えていくかを考える機会にしたい。」と挨拶を述べました。
髙橋 秀親 氏
(全国福祉高等学校長会 理事長、東奥学園高等学校 理事長)
 続いて、髙橋秀親氏(全国福祉高等学校長会 理事長、東奥学園高等学校 理事長)から「本フォーラムは、地域と高校との協働をテーマに、人と人とのつながりを大切にし、全ての人が幸せな人生を送ることができる社会を築くための教育活動となっていると思う。このフォーラムが日本の福祉の発展の原動力となり、より良い地域社会を築くきっかけとなることを願いたい。」とのご挨拶をいただきました。

第1部 基調報告「福祉教育を取り巻く現状について」

辻本 智加子 氏
(文部科学省初等中等教育局参事官(高校学校担当)付 産業教育振興室教科調査官)
 辻本智加子氏(文部科学省初等中等教育局参事官(高校学校担当)付産業教育振興室教科調査官)にご登壇いただき、「地域と福祉を学ぶ高校との協働」をテーマに、福祉教育を取り巻く現状について各学校や地域での取り組みを中心に様々なデータを示しつつ、基調報告していただきました。
 現在、少子化や高齢化、グローバル化、AIの進展など、子供たちを取り巻く社会は急速に変化しており、文部科学省では、2040年に向けた学習指導要領の確実な実施だけでなく、既に2050年を見据えた学習指導要領の改訂まで進めていることが報告されました。その中で子供たちが主体的に学び、持続可能な社会の創り手となるための教育が求められていること、特にデジタル学習基盤の活用や多様な教育課程の実現が重要視されているとのお話をいただきました。
 教員も、これらの生徒の主体的な学びを支援し、質の高い教育を提供することが求められており、福祉教育を通じて、地域社会のウェルビーイング向上に貢献する人材を育成することが重要であるとお話されました。

 福祉系高校や専門学校の入学者数は増加傾向にあるものの、少子化の影響で全体の生徒数は減少しており、学校運営の効率化や教育の質の向上が求められていることが報告されました。最後に、改めて福祉教育を通じて、地域社会の課題解決に貢献する人材を育成し、持続可能な社会を築くことが重要であると締めくくられました。

 参加者からは「教育の現状を理解し、福祉教育がこれからどうなっていくかを考えることができた。」「教員として生徒にどのような学びを提供できるかを考えさせられた。」「福祉を取り巻く環境の変化を知り、主体的に学ぶ姿勢と教員の多様性?主体性を高める必要性を感じた。」「常に成長し続けるために行動し、変化の激しい時代に対応するための学びを提供する重要性を感じた。」「介護のイメージ低下やAIの活用が進む中で、福祉や介護の魅力をどのように伝えるかを学んだ。」等の感想をいただきました。

第2部 対談「福祉現場のリアルを伝える」~社会福祉法人むそうの実践から~

戸枝 陽基 氏
(NPO法人ふわり 社会福祉法人むそう 理事長、
云顶娱乐棋牌_云顶娱乐网址¥app下载官网 客員教授)
 戸枝陽基氏(NPO法人ふわり 社会福祉法人むそう 理事長、云顶娱乐棋牌_云顶娱乐网址¥app下载官网 客員教授)が、自らの経験や実例を交えながら、ノーマライゼーションの理念を大切にしていること、福祉人材開発をしてきた問題意識、現在取り組んでいる「介拓(奨学生)プロジェクト」などについてお話しいただきました。
 福祉人材開発をしてきた問題意識としては、人材は深堀りしないと確保できない、深堀りする対象は外国人だけでなく、日本でチャンスをもらえていない層も含まれる、「伴走型支援」という言葉は人材養成にも大切なことである、シビアなニーズを持つ方への支援は高度な知識とスキルが必要で長い時間がかかるといったことがあることが説明されました。
 現在の介拓(奨学生)プロジェクトを進める上で大切な要件として、楽しくやりがいがあり成長できる福祉事業所であること、教育的な伴走支援ができるマネジメントスタッフがいること、福祉的課題がある子供の伴走ができたり、体験的ヘルパー講座などの教育プログラムを提供できる団体が不可欠であると話されました。
(講演の要旨)
  • 福祉系高校や専門学校の入学者数は増加傾向にあるが、少子化の影響で全体の生徒数は減少している。これは深刻な問題であり、福祉の仕事の魅力を伝えることが必要。
  • 福祉の仕事は非常にやりがいがあり、福祉教育を通じて、福祉の魅力や価値を伝える活動が重要。例えば、介護福祉士の給与が実は高いことや、福祉の仕事が多様なキャリアパスを提供することを伝えることが必要である。
  • 福祉事業所も地域社会の一員として、福祉教育のパートナーとしての役割を果たすことが重要。
  • 取り組み事例として、医療的ケア児を預かるデイサービスと親が働ける場所を同じ場所で提供していることや、通信教育で学ぶ子供たちは友達との出会いが少なく、コミュニティを持てない問題があるため、ヘルパー講座を通じて友達を作り、就労体験を提供している。高校生にも適正な時給を支払い、社会人と同じように働ける環境を整えている、また外国人材の活用やアプレンティスシップ制度の導入を通じて、福祉分野の人材育成を進めることも重要といった紹介も行われた。
  • 福祉教育は地域社会の課題解決に貢献する人材を育成するための重要な手段になりうる。地域と連携し、福祉教育を通じて地域社会のウェルビーイング向上に寄与することが求められている。例えば、地域の保育園や学校と連携し、子供たちが孤立しないように支援することが大切である。?学校教育だけでなく、社会教育や家庭教育と連携し、総合的な教育環境を整えることが必要。特にデジタル学習基盤の活用や多様な教育課程の実現が求められている。
  • 学校運営の効率化や教育の質の向上が求められている。福祉教育を通じて、地域社会の課題解決に貢献する人材を育成し、持続可能な社会を築くことが重要である。

最後に、福祉教育を通じて、子供たちが自己実現できるような人材に育成することが重要で、学校教育だけでなく、社会教育や家庭教育と連携し、総合的な教育環境を整えることが必要であると締めくくられました。

戸枝 陽基 氏と原田 正樹 学長

 その後に戸枝氏と原田学長との対談となり、地域の教育力と高校生の成長をどう繋げるかの意見交換となりました。リスクを避けるために学校内での活動に限定されがちな現状に対し、社会全体がリスクを寛容に受け入れる必要性、教育と福祉が連携し、子供たちにリアルな体験を提供しつつ、多様な高校生一人ひとりに寄り添う伴走型支援の重要性が再確認されました。

 参加者からは、「高校教諭として、もっと早い段階で生徒と関わることの重要性を考えさせられた。」「生徒にリアルを伝えることの重要性を再認識し、何を伝えたいのかを考える必要性を感じた。」「今の社会はリスクに寛容ではない、という言葉がすごく印象に残った。」「障害者の現場で働いている身として共感できる部分が多かった。」「生徒一人一人に応じた教育と学校のあり方について考えさせられた。」「生徒に伴走することの大切さ、重要性が印象に残った。」「生徒の家族への支援も必要で、息の長い伴走支援が必要だと学んだ。」などの感想が寄せられました。

第3部 分科会 第1分科会「福祉の魅力を再発見~バトンを引き継いで~」

分科会の様子

 最初に、昨年度のフォーラム(テーマ:福祉の魅力を再発見)で得たアイデアをもとに、三重県立伊賀白鳳高校が新たに取り組んだことについて、猪岡歩未氏(同校実習教員)と宇野有紗氏(同校教諭)による報告が行われました。学年を越えた広報?ボランティア?イベントのグループ活動や、卒業生の職業や福祉に対する思いを集めたMovie作成などを行っていることが報告されました。課題としてSNSやICTに不慣れな教員のサポートや、活動内容の精査などが挙げられました。

 次に、千葉県立松戸向陽高校の望月玲子氏(同校教諭)による同校福祉教養科の取り組みが紹介されました。同校では福祉教養科活動委員会が学校広報係、特別支援学校?地域交流係、介護技術コンテスト?産業教育フェア生徒運営委員会?機関誌(葱ぼうずの詩)係の3つが活動し、年2回の学科集会で活動の紹介や報告を行っていること、上級生が下級生を指導するシスター制を導入していることなどが報告されました。また地域連携の重要性でコミュニティ?スクールのような仕組みの形成が求められていること、地域と学校と生徒が学びについて熟議を深めていく課題があることが話されました。

 グループワークでは、参加者が「学校に戻ってやってみたいこと」を共有し、上級生からのアドバイスの有用性も確認され、新しい活動を実践し、福祉の魅力を広めることの重要性が再確認されました。

 参加者からは「他校の取り組みや活動から多くのヒントを得て、自校でも生かしたいと思った。」「同学年だけでなく異学年での交流が有益であり、学校の先生方や生徒会に異学年交流を提案したいと感じた。」「教員主導ではなく、生徒が主体となって活動できる場をもっと作りたいと感じた。」「福祉科集会の重要性を感じ、学年を超えたつながりを大切にしたいと思った。」「さまざま立場の人と意見交換ができ、多くのアイデアを得て有意義な時間だった。」などの感想が寄せられました。

第2分科会「地域と協働した授業実践報告~可能性は無限大!」

分科会の様子

 最初に愛知県立瀬戸北総合高校の高橋久美子氏(同校教諭)により授業実践が報告されました。瀬戸北総合高校は、福祉理解系列の授業や社会福祉協議会との連携、特別支援学校との交流、小学校での認知症講座、介護施設でのレクリエーション企画?運営など、地域との連携を重視していることが説明されました。
 その後のグループワークでは参加者から、千葉県の施設や上級学校、企業、学校間の連携、部活動による地域連携、認知症カフェへの高校生の参加、高齢者を招いたデイサービス、義肢や装具の出前授業などが紹介されました。
 今後の取り組みとして、農業科の学校での動物との触れ合いイベント、義肢や装具をつけてのテーマパーク訪問、クラスでの起業、放課後等児童デイサービスとのコラボレーションなどが提案されました。

 参加者からは「瀬戸北総合高校をはじめ、様々な学校の取り組みを知ることができ、参考になった。」「グループワークを通じて、各学校や事業所の取り組みや今後の計画を聞くことができ、有意義な時間だった。」「地域との連携が生徒の成長につながると感じ、多くの学びを得た。」「生徒が主体となって活動できる場を増やし、地域と学校のつながりを強化したいと感じた。」「実際に教員になった際に活かせる取り組みやアイデアを得ることができた。」「もっと意見等について共有する時間があるとよかった」などの感想が寄せられました。

第3分科会「青年期の福祉の学びにおける合理的配慮とは ~切り分けない地域社会づくりを目指して~」

※本分科会のみ、対面?オンライン並行開催

 藤井渉氏(云顶娱乐棋牌_云顶娱乐网址¥app下载官网 社会福祉学部 准教授、学生支援センター長)が、インクルーシブ教育が推進される中、高校生の学びが「切り分けない地域社会」につながるための実践についての講話を行いました。藤井准教授は、障害の有無で分けられてきた歴史的背景と、学びにおける合理的配慮の意義について説明しました。「合理的配慮」は「理にかなった調整」を意味し、当事者からの申請に基づいて行われる調整であること、合理的配慮のポイントとして、教育の本質を問う作業と、分けられた社会にメスを入れることが挙げられました。また、障害者に対するフィルターが無意識に働いていることを指摘し、そのフィルターが歴史的にどのように形成されてきたかを解説しました。明治時代以降、障害者は社会から切り分けられ、侮蔑や抑圧の対象となってきたが、江戸時代以前は寛容的であったと話されました。藤井准教授は、障害のある人とない人との出会い直しが重要であり、現場から発信することが社会を変える鍵であると強調され、最後に、過去に目を向け、無意識のフィルターを外し、それぞれの立場で何が必要かを考える時間が必要であると締めくくりました。

 参加者からは、「障害の歴史的背景が、枠組み外の生活とリンクしていることを学べて、貴重な分科会となった。」「合理的配慮の歴史的背景を学び、実際にどうすればよいのかを考える機会となった。」「日本のノーマライゼーションの歴史の話を聞き、障害者に対する価値観がもともと差別的ではなかったことを知り、驚いた。」「地域住民との出会い直しが大切であり、地域移行を進める際にその視点を大切にしたいと感じた。」「福祉の歴史や仕組みを学び、合理的配慮の見方が変わり、学校現場での還元や見方を変える必要性を考えることができた。」といった感想が寄せられました。

閉会

牛山 美奈 氏
(愛知県高等学校福祉教育研究会 会長?愛知県高浜高等学校 校長)
 最後に閉会挨拶として、牛山美奈氏(愛知県高等学校福祉教育研究会 会長?愛知県高浜高等学校 校長)より、「今の学校は変革の時を迎えており、授業や生徒指導の面でも教員が柔軟な対応を求められている。福祉の場面も同様である。今日は貴重な学びの場となった。この学びを学校に持ち帰り、生徒が未来を作る力を育てるためにぜひ活用していただきたい。」とご挨拶いただきました。
橋本 昌幸 氏
(三重県高等学校福祉教育研究会会長?三重県明野高等学校 校長)
橋本昌幸氏(三重県高等学校福祉教育研究会会長?三重県明野高等学校 校長)からは、「先生方の活発な議論、これをやりたいという意欲に触れることができた。福祉とは普通の暮らしの幸せを支援することで、人それぞれ違って良い。資格を取ることはスタートで、その後の支援がより大切。失敗を恐れずに先生方と生徒の支援を共に取り組んでいきたい。」とのご挨拶をいただき、本フォーラムを締めくくられました。

以上