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整形外科の設計提案に挑む横断型プロジェクトが始動 ~リハビリテーションと建築、それぞれの視点から患者に寄り添う空間を考える~

レポート
2025年08月06日

知多郡阿久比町に新たに開設される整形外科の設計に向けて、健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻の浅井教授研究室所属の学生と、福祉工学科建築バリアフリー専修(2025年4月より工学部工学科建築学専修)の村井准教授研究室の学生が連携し、実際の空間づくりに携わる横断型のプロジェクトがスタートしました。

本プロジェクトは、内装?サイン?外構の設計提案を通して、理学療法と建築という異なる専門領域を学ぶ学生が協働し、患者の立場に立った「使いやすく、親しみやすい医療空間」を構想することを目的としています。

プロジェクト説明会

4月には、建築を担当する田中建築士からプロジェクトの概要が説明され、学生たちはこれまでに設計されたクリニックの事例を通じて、空間づくりの背景やプロセスを学びました。今回の建物の設計では、すでに基本的な構造は決定しているものの、内装やサイン、外構といった利用者にとって重要な要素を学生が担うこととなりました。

事例調査報告?方向性提案

5月には第2回ワークショップが開催され、建築バリアフリー専修の学生たちは、インテリア?サイン?外構の3チームに分かれて具体的な提案を行いました。インターネット等で集めた他施設の事例をもとに、「なぜそれが必要か」「患者にとってどう良いのか」といった観点から、独自のアイデアを提示。建築士の田中氏からは「デザインには共感と根拠が必要。誰のための提案かを常に意識してほしい」と、実務に即した助言がありました。また、リハビリを受ける人の目線から空間を捉える重要性についてもコメントが寄せられました。

第1回提案

6月の第3回ワークショップでは、理学療法学専攻の学生も加わり、より多角的な視点での検討が行われました。建築バリアフリー専修の学生たちは、リハビリ中の患者が立ち上がりやすい家具の提案や、明るく落ち着いた印象を与える内装材の選定、衛生面への配慮など、利用者の身体的?心理的な状態に寄り添った提案を行いました。サイン案では、視認性や親しみやすさを重視したフォントやデザインが提示され、外構では砂利や飛び石を使った軽度な歩行訓練ができるスペースが提案されるなど、利用者の行動をイメージしたアイデアが多く見られました。

建築士の田中氏からは、「提案の背景にある建物や地域の特性、素材の質感までを読み込み、自らの体験と結びつけて考えることで、より説得力のあるデザインが生まれる」とのアドバイスがありました。また、「建築はクライアントがいて初めて成立するもの。提案する以上は責任が伴う」と、専門職としての姿勢を説く言葉も学生たちに強く響きました。

一方、医療機関の立場から服部先生は、「リハビリ室の広さや動線は、診療報酬制度や使用機器との整合性が不可欠」とした上で、「今後、理学療法士が家屋調査なども行う機会が増える中、住環境や建築に関する理解が職能として重要になる」と、建築と医療の連携の可能性についても示唆されました。また、「白=清潔」という先入観への問いかけや、床材の色や素材による心理的?物理的影響への言及など、現場の視点からの具体的なフィードバックも多く寄せられました。

異なる専門性をもつ学生同士が協働しながら、プロフェッショナルや医療現場の意見に耳を傾け、ユーザー視点に基づいた提案を磨いていくプロセスを通じ、支援する人、支援される方にも過ごしやすい空間づくりを、今後も目ざしていきます。

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